尖閣問題などを受けて、嫌中感情が広がりました。また、中国国内の暴動で、日本企業も具体的な被害があったようです。
こうした流れを受けて、どうしても次のような疑問を持たざるを得ません。中国に進出した企業は中国から撤退しないのでしょうか?また、今後中国に進出する企業はあるのでしょうか?
そういえば最近のニュースを見ると、中国に進出すると言うニュースはずいぶん減ったような印象があります。その代わりに、東南アジアの国に進出するニュースはよく耳にします。
例えば、今日は次のようなニュースがありました。
■ インドネシア進出を検討=15年にも開店―三越伊勢丹(時事通信)
■ 神鋼が中国でのアルミ工場計画撤回(産経新聞)
まあ、たまたま見つけただけと言えば、それまでですけどね。でも、こういう記事が増えたような印象を持っています。
脱中国は世界的な流れか?
さて、実際のところはどうなのだろうと思い、色々と調べてみました。すると、次のような記事を見つけました。
■ 人件費高騰・労働環境問題などで脱中国進む
日経ビジネスの記事なのですが、ネット上でも閲覧できるので、記事名で検索してみてください。
この記事によると、中国は生産拠点としては魅力がなくなってきているということです。ですから、日本以外の各国は、既に中国での生産を縮小していると言います。
欧米企業、韓国企業は一足先に中国市場から手を引いているところが多い。日本貿易振興機構(JETRO)の調べによると、2011年の中国への投資額は主な欧米(ドイツを除く)、韓国は軒並み減少している。
尖閣問題が起こる以前は、日本企業だけが投資を増やしているような状況だったわけですね。ですから、尖閣問題以降日本企業が投資を減らしたとしても、世界的な流れに乗っただけともいえるわけです。むしろ、出遅れたと言った感じでしょうか。
もともと、中国に進出する企業は、安い人件費を求めていたところも多かったはずです。ところが、現在の中国の人件費は東南アジア諸国と比べると、決して安くありません。ですから、以前ほどは中国に工場を持つメリットは無いのです。
中国を市場と考える企業以外は、撤退するのが自然な流れと言えそうです。
一部の経済人の懸念は本当だろうか?
一部の経済人は、中国と距離を置く事は、将来の日本のためにならないと言う趣旨の発言を頻繁にします。前中国大使の丹羽宇一郎氏やユニクロの柳井正氏などが代表的でしょうか。
でも、本当にそうなのかは、冷静に考えてみる必要がありそうです。もしかしたら、適度な距離感を保つ方が、長期的には合理的なのかもしれません。安い人件費が魅力的という意味なら、ベトナムだってブラジルだってインドだってありますしね。市場と言う意味でも、中国以外の成長市場は色々と存在します。
もちろん、中国と完全に切れてしまうのが良いとは思いません。でも、中国一辺倒にならずに、様々な国と上手くやるほうが、総合的に見れば正しい選択のように思います。少なくとも、中国様のご機嫌を伺いながら、ビクビクする必要はなくなるでしょう。
日中関係が大事だという人の多くは、日中関係が良好な方法が自社の利益になるからそういう発言をしている事も多そうです。中国に進出し、中国と心中するくらいの覚悟を持っていそうな企業が多いようなんですよね。
経営者としては当然の発言ですが、それを聞く側は何かバイアスがかかっていないか考えてみる必要がありそうですね。
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